ちょっと変わった子ども向けの将棋入門書『将棋の駒はなぜ歩が金になるの?』をご紹介します。
『将棋の駒はなぜ歩が金になるの?』
著者は高野秀行六段。解説に登場すると将棋が詳しくない人でも分かるよう丁寧に教えてくださり、そのお人柄の良さが全身からにじみ出ているような先生ですね。
さて本書、将棋のことをあまり知らない子ども向けに書かれた本ですが、ちょっと他の入門書とは毛色が違います。
駒の種類や動かし方、「成り」や「二歩」といった基本的なルールの一部くらいは出てきますが、技術的にそれほど踏み込んだ話題は出てきません。
将棋の歴史、棋士の世界、コンピュータ将棋・・・など、これを知っていると将棋に接するのがより楽しくなる!という将棋界を取り巻く話題を、高野六段が分かりやすく噛み砕いて説明してくれる、そんな内容になっているんです。
参考までに、こちらは目次の引用です。
はじめに
ちしきのもり将棋の駒はなぜ歩が金になるの? | 少年写真新聞社のホームページ
第一章 将棋の歴史を知ろう
将棋の起源はインドの「チャトランガ」
世界にある、将棋のなかま
将棋の来た道 ~大陸から? 東南アジアから?~
将棋、最古の駒 ~奈良の興福寺から出土~
駒の動きが書かれた、鎌倉時代の『二中歴』
取った駒を使う! 将棋だけの画期的なルール
将棋名人の誕生 ~徳川家康は将棋好き~
五〇石五人扶持って、今の価値だとどれくらい?
名人は「世襲制」?
詰将棋を一〇〇題つくった将軍
将棋が普及 ~参勤交代がキーワード~
幕府崩壊! 家元以外の名人が誕生
新聞将棋「棋戦」の始まり
実力名人制へ
第二章 頂点を目指せ! 将棋界のしくみ
名人以外もある将棋のタイトル
棋士になるには ~せまき「四段」への道~
棋士の仕事
将棋の試合は何時間かかるのかな?
羽生さんと藤井さん、どちらが強いの?
「女流棋士」と「棋士」はちがうの?
棋士を目指す女流棋士
第三章 将棋を楽しもう
駒の動きは? ~ルールをおぼえよう~
駒のならべ方にも順番がある
実際に将棋を指してみよう
「持ち駒」は財産
ボーナスポイント!「成る」ことで駒が強くなる
どうしたら「勝ち」になるの?
やってはいけないこともある? 「二歩」は反則
城をつくろう!「玉」を守る「囲い」
将棋の駒や盤はどんな材料でつくられているの?
終局 ~いちばん大事な「礼儀作法」~
第四章 コンピュータと人間、どっちが強いのか?
対決! 名人とコンピュータ
なぜ「将棋」を研究したのか
どうしてコンピュータは強くなったのか
もっと将棋が楽しくなる
おわりに
藤井聡太二冠のニュースや将棋のネット中継など、最近は将棋の風景を目にする機会も増えていますので、昔より「観る将」目線での関心をきっかけに将棋を始める子どもたちもきっと出てくることでしょう。
そんな子どもたちが将棋界の知識を深めるのに、ちょうどピッタリの一冊だと思います。