電王戦FINALが開幕する3月14日(土)まで、いよいよ10日を切りました。
いよいよ始まっちゃうんですね。でも今回でFINALなわけだから、始まってしまえば終わってしまうわけでもあります。見たいけど終わって欲しくないし、あーいったいどうすれば・・・と実に複雑な気持ちの今日この頃です。
さて、どうせ見るのであれば少しでも電王戦の背景やコンピュータ将棋について知っておけば、より深くこの戦いを楽しめるはず!そんな方にぜひオススメな電王戦関連本を5冊ご紹介してみましょう。
「われ敗れたり」
「われ敗れたり」は、第1回の電王戦として開かれた、米長邦雄永世棋聖 VS 将棋ソフト「ボンクラーズ」との対局を自らが振り返った米長氏の記録です。
人間対コンピュータの真剣勝負の幕開けとも言える歴史的な対局にあたり、当時将棋連盟会長であった米長氏が自らどれだけの思い、準備をもって臨んだかが克明に描かれています。電王戦の意義をしっかりと感じ取ることができる一冊です。
以前、この本のレビュー記事も書いたのでそちらも合わせてご覧ください。
「第2回電王戦のすべて」
第2回電王戦に出場した5人の棋士たちによる自戦記がまとめられた一冊。
本番までの練習や心構え、そして対局においての読みや心境などが棋士自身によって語られた内容はとても見応えがあります。それにしても棋士の方々は文章も上手い!
この回の電王戦で初めて現役のプロ棋士が敗れたわけですが(結果はプロ棋士側から見て1勝3敗1引き分け)、そのときの感情がありのままに伝わってくるような点も、重苦しくはあるけどとても貴重な記録でもあって、電王戦でプロ棋士側に思い入れの強いファンにはぜひ読んでみてほしい一冊です。
「将棋電王戦棋士激闘録〈第3回〉」
出場棋士5人の視点から第3回電王戦の戦いをまとめられた一冊で、前述の「第2回電王戦のすべて」と違って、将棋観戦記者の方々の取材をベースに書かれたものになります。
自戦記のように将棋の内容に深く触れているわけではなく、佐藤紳哉六段の棋士仲間からの慕われようとか、森下卓九段の律儀な性格だとか、棋士の個性がよく伝わってくるエピソードが比較的多く描かれているのが特徴です。将棋の棋士って人間的に個性派が多いので、こういう話って楽しいんですよね。
「ルポ 電王戦」
第3回電王戦の後に発売された一冊で、ソフトウェア開発者寄りの目線でコンピュータ将棋や電王戦の歴史がまとめられた本です。極力、符号(例「7六歩」)も使わず書かれている点も特徴で、将棋自体に詳しくない方でも将棋の話が分かりやすく理解できるでしょう。
プロ棋士側目線での話は比較的少ないので、前述の本と合わせて読むとより深まって楽しめるんじゃないでしょうか。
以前、この本を読んだときのレビュー記事もご覧になってみてください。
「人間に勝つコンピュータ将棋の作り方」
上記4冊とはちょっと毛色の違う本ですが、ソフトウェア開発者たち自身によって書かれたコンピュータ将棋の解説書です。コンピュータ将棋を作る上でのアルゴリズムやテクニックなど技術的な話題が満載で、開発に興味のある方にとってはたまらない内容かと思います。
電王戦が始まる以前に出版された本なので、コンピュータ将棋の歴史の紹介等はやや古い情報ですが、各説明は開発者ならではの深みで書かれていて読み応え十分です。
電王戦をきっかけにコンピュータ将棋に興味を持った方に読んでみて欲しい一冊です。