今年の第3回電王戦が終わってしばらく経ってしまいましたが、今さらながら読みました。
「われ敗れたり」は、第1回電王戦として開かれた、米長邦雄永世棋聖と VS ボンクラーズとの対局の全てを振り返った米長氏の記録です。
まだ世間一般にコンピュータ将棋の強さが浸透していなかった頃に、その強さを正面から受け止め、対局に向けて研究に打ち込んだ姿勢。精神集中のためのあらゆる周到な準備。プライドもかなぐりすてて勝負に徹した奇手6二玉。
現役を退いて数年経過してからの戦いとは思えないそのプロ魂に溢れた数々の行動に、棋士としても人間としてもなんてカッコいい人だったんだ、、、としびれることしきりでした。
米長氏が将棋ファンに喜んでもらうことを一番の目指す所として作り上げた電王戦。もしこれが無かったら自分などがあらためて将棋に興味を持つようにはなっていなかったはずで、間違いなくその志は多くの将棋ファンに届いたことでしょうね。。
電王戦本当の勝利者は、最高に楽しませてもらった将棋ファンと最高に男を上げた米長氏・・・。そんな印象を受けずにはいられない、米長氏の大局観が光る一冊でした。