「初段」。将棋を指す人にとって憧れの二文字。でもそこに至る道は暗く、険しく、遠い・・・。
そんな級位者の背中を温かく後押ししてくれる一冊、『将棋「初段になれるかな」大会議』(以下、「大会議」と表します。)を読んだのでご紹介します。
『将棋「初段になれるかな」大会議』
この本は、前作の『将棋「初段になれるかな」会議』(名前が似ているので間違えないようご注意を。)と同様、ライターの岡部さん(@okataco)、漫画家のさくらはな。さん(@kusattamarimo)という学ぶ立場の聞き手お二人と、指南役として高野秀行六段を混じえた3人の会話形式で進められます。
なお、前作の感想はこちらの記事をご覧ください。
この本のターゲットは「初心者ではないけれど決して強くない人」「棋力が初段に届かない級位者の人」。はい、それはずばり私です!
前書きにとっても納得させられる説明があるので、ちょっとだけ引用させていただきます。
既存の将棋本が「駒の並べ方から教える初心者用」か「最新の指し手を解説している有段者用」の2つが圧倒的に多く、その中間レベルに向けた本が少ないという事情があるのです。
この言葉、心にストーンと落ちるのです。
級位者でも理解できるよう表現を工夫したり、丁寧に説明してくれる棋書ももちろん沢山あります。ただ、それを自分のものに吸収するまでには時間と労力をかけて何度も読み込む努力が欠かせません。
強くなりたければそれは当然必要なことなんでしょうが、仕事、生活、他の趣味・・・といった他にも時間を使いたい中で、なかなか十分にコストを割くのが難しい現実もあります。(「お前の将棋熱が足らない!」とも言えますが…。)
この「大会議」で教えてくれる内容は、
- 級位者が陥りやすいポイント
- 初段を目指すならここは知っておきたいポイント
- 実際に初段になった人からのアドバイス
といった、級位者がまさにちょうど今知りたかった情報に特化しています。
その点がとても良くて、自分に足りない部分を認識したり、まずは最低限このレベルまで理解できれば上を目指していけるんだ、と前向きになることができるんです。
また、3人の会話形式で話が展開することもあって、まるで高野六段からリアルに自分が勇気付けられているように感じられるのもたまらないんですよね。
いくら将棋を指しても本読んでも全然強くならないし、ま、将棋は楽しめればいいから棋力のことはいいや・・・と思いかけていた自分に、また頑張ってみようかな!、と読み終えた後はそんな気持ちになれました。
初段への夢をもう一度持たせてくれた、この本に感謝です。