将棋の電王戦FINAL第4局 村山慈明七段 vs Ponanza の対局は、97手で Ponanza が勝利。これでプロ棋士対コンピュータ将棋の対戦成績は2勝2敗となり、団体戦としての決着は最終局に持ち越されることになりました。
詳細は各メディアのレポート記事をご覧ください。
- ponanzaが完勝しコンピューター側が2勝2敗のタイとなる|将棋電王戦FINAL – 週アスPLUS
- コンピュータ将棋協会blog » 将棋電王戦FINAL第4局はponanza勝ち、団体戦決着は最終局へ
- 将棋電王戦FINAL第4局、ponanzaが「将棋の定跡に重大な問題提起」した構想で村山慈明七段に完勝 | 将棋ワンストップ・ニュース
対局の感想
この日の対局は詳しく見られていないのですが、以前から出場ソフトの中で Ponanza と AWAKE は別格という評判の通り、村山七段を相手にして見せ場を作らせることなく Ponanza が完勝するという強い将棋内容だったようです。
コンピュータ将棋の弱点(といってもあえて挙げればというレベル)は、中盤を飛ばしていきなり序盤から終盤に飛び込むような激しい展開ということはよく言われますが、本局の村山七段もその展開を目指して横歩取りの戦型に誘導。
ところが途中幾つかの分岐点(△7六飛→▲7七歩、△7四飛→▲3六飛)で、予想された激しい展開とは逆に Ponanza が予想外の持久戦志向の手を選択したことで、村山七段の準備していた構想に狂いが生じてしまったとのこと。人間には想像も付かない手筋を繰り出す攻撃的な将棋で知られる Ponanza が、まるで不敵な笑みを浮かべながら村山七段の裏をかくような知性を見せたように感じるのは自分だけでしょうか・・・。
上記の Ponanza の着手は、ニコ生担当の解説陣からも「かなり重大な問題提起」(佐藤康光九段)、「棋理に反する」(森下卓九段)というコメントが挙がっていて、あらためて Ponanza の常識外の強さを思い知らされる一局だったようです。
対局後の記者会見、村山七段は Ponanza との練習対局で1割を切るくらいしか勝てていなかった旨のコメントをしていましたが、この対局を迎えるまで相当に苦しい心境で過ごされていたことと思います。また Ponanza との準備期間を経る中で、公式対局や研究会で会う人にこれまで受け寄りだった棋風が以前より攻撃的になったと言われたこともあったと話していました。この電王戦で得た経験・知識が棋士人生に大きなプラスとなって、今後大きな活躍を見せてくれることを願っています。
村山七段、Ponanza 開発者の山本さん、お疲れ様でした!
第5局 阿久津主税八段 vs AWAKE
電王戦FINAL次の対局は4月11日(土)阿久津主税八段 vs AWAKE。いよいよ最終局となります。2勝2敗となった人間対コンピュータという団体戦の観点からしても、最終局で勝敗が決するという重要な対局を迎えるわけです。
すでに第5局の PV が公開されています。将棋の世界の厳しさ、電王戦に臨むプロ棋士の苦しさ、AWAKE の開発者巨瀬さんの思いが詰まった素晴らしい仕上がりになっています。ぜひ対局の前にご覧になることをおすすめします!
素人ながらの意見ですが、すでに Ponanza、AWAKE といったトップ将棋ソフトの実力はすでに多くのトッププロ棋士を超えていることでしょう。(羽生、渡辺クラス相手でも少なくとも互角にはやれるでしょう。)
ただそれほどの難敵ではありますが、このソフトたちも決して負けることが無い存在ではありません。また、将棋というゲームが解明されていない以上、どんな結果が導き出されても不思議ではありません。
極めて厳しい局面ではありますが、人間が得意な形に持ち込む、人間が一局を通じてノーミスかつ最善手を続ける、人間が一世一代の会心譜を一発勝負で発揮できれば・・・そんな可能性を最後まで信じたいという気持ちです。
順位戦でA級から降級するなど、前期あまり振るわなかった感のある阿久津八段ですが、ぜひその印象を払拭するような素晴らしい将棋を期待しています!