話題の新書「ルポ 電王戦―人間 vs. コンピュータの真実」を読みました。
タイトルは「ルポ 電王戦」とありますが、話題の電王戦についての話というより、コンピュータ将棋の歴史が綴られたルポと言い換えた方がしっくりくるような内容になっています。
今から50年ほど前に詰将棋解析プログラムの開発から始まったコンピュータ将棋黎明期から、指将棋プログラムの開発、コンピュータ将棋選手権や floodgate で切磋琢磨したソフトたちが、プロ棋士たちに挑むようになる現在までが、将棋に詳しくない方でも分かりやすい説明(棋譜や指し手がほとんど出てこないのが特徴)で語られています。
また、電王戦関連だとプロ棋士観点で書かれる文章が多いのですが、コンピュータ将棋の開発者たちの言葉や素顔が多く描かれているのも新鮮でした。特に ponanza 開発者の山本一成(@issei_y)さんについてなどは、個人的に何かあるんではと思わせるほどプライベートまで突っ込まれていて微笑ましかったですねw
これを読むと、プロ棋士とコンピュータ将棋との関わりという点において、この2〜3年は長い将棋界の歴史でも重要な局面を迎えているんだろうなということがよく分かります。逆に将棋ファンからすれば、最高にワクワクする時代に立ち会えているとも言えるんじゃないでしょうか。
自分は読む順番が逆になってしまいましたが、「ルポ 電王戦」を読んで、もっとコンピュータ将棋や電王戦について知りたいと思った方は、「われ敗れたり」「人間に勝つコンピュータ将棋の作り方」といった作品などはプロ棋士側、開発者側それぞれの視点でのより詳しい話が読めて面白いと思います。